プロ野球の支配下登録枠ってご存知ですか?支配下登録選手ってのはプロ野球12球団に契約されている所謂プロ野球選手というのを想像してもらえればいいかなと思います。(実際には支配下登録選手の他に、現在では育成選登録枠選手というのがいるのですが、そこは後ほど説明します。)
で、この支配下登録枠選手っていうのが、各球団70名となっています。
70名くらいだったらそんなもんか、という人も多いでしょうが、この70名ってちょっと多すぎじゃないか、というのが今回のお話です。
そもそも支配下登録選手って何?
そもそも支配下登録選手というのは、その球団に独占的に契約している選手のこと。通常野球選手という場合にはこの支配下登録選手を指します。皆さんが普段目にする野球選手はそれぞれ各球団の支配下登録されていて、その球団にのみ独占契約している形になります。
ちなみに支配下登録選手との各球団との契約は毎年2月1日から11月30日までとなっています。プロ野球のキャンプインが2月1日なのは、その日から球団の支配下におかれるためです。逆に1月中に自主トレとか集団自主トレみたいなのが行われるのは、その時期は支配下登録されていないため、球団としては直接指導者が指導できないことになります。
逆に秋季キャンプなんてのは早ければ10月末から開始され、11月中頃〜下旬まで行われますが、これができるのも、11月までが支配下登録選手との契約期間のため。もし、11月が支配下登録の期間から外れていたらキャンプなんてできません。
というか日本シリーズも大体11月に入ることが多いので、日本シリーズもできなくなっちゃうんですけどね笑。
育成契約選手って何?
では、最近よく聞く育成契約選手って何なの?という話もしておきます。育成契約というのは名目上は、育成を目的として球団の選手契約枠を拡大して契約する選手のこと。なので上記の支配下登録枠70名には入らず、しかも現状は何人契約してもOK!
ただしいくつか条件が合って、大事なところ中心にまとめると、
- 支配下登録枠選手が65人以上必要
- 期間は最長3年間(ただし4年目以降も再契約は可能)
- 1軍の試合には出場不可
- 2軍の試合は出場可
- 背番号は3桁
- 支配下登録の選手をシーズン中に育成契約に変更するのは不可
- シーズン後に支配下登録選手を育成契約に変更するのは可
- 育成ドラフトでは企業所属選手の指名は不可
- 育成ドラフトでクラブチーム所属の選手は可
- 支配下登録は7月31日までに行えばそのシーズンは支配下選手として出場できる
みたいな感じになっています。本当はもっと色々あってとっても細かいですがひとまずこれくらい理解しておけばOKでしょう。
いずれにしても育成選手契約は支配下登録枠の70名には入らないので、チームによっては3軍を作るためにも多くの育成選手を獲得する球団(ソフトバンク・巨人など)もあれば、全く育成選手を取らない球団(日本ハム)もあります。
※追記 日本ハムは2018年ドラフトから育成選手を獲得するようになりました。
支配下登録枠70名は多くないか問題
さて、いよいよ本題へ。支配下登録枠は70名なんですが、この人数って多すぎやしないかい?ということを考えてみようと思います。
いや、少ないだろ!もっと増やせ派もいる
ところで、個人的には支配下登録多すぎって思っていますが、逆にもっと支配下登録枠を増やせ派の人もいます。その理由ですが、大きく分けると3つからなります。
- 育成契約が増えてしまって、選手の二極化が進む
- 現状でも怪我で2軍選手が足りない時がある
- 支配下を増やせばプロ野球選手になれるチャンスが増える
1つ目は現状の育成選手の多さからなるものです。育成選手だと最低年棒は240万円。月換算だと20万円となる。これに対して支配下登録枠の選手の最低年棒は440万円。悪く言えば育成選手は派遣社員みたいなもので、2軍にいる他の支配下選手より安く働かされているとも言えます。それなら育成契約なんてのをやめて支配下登録枠を増やし、全員支配下選手にすればいいじゃないか、というものです。
2つ目としては、実際にけが人が続出すると、2軍の試合がまともにできない時があります。特に野球の場合、70名のうち約半分は投手が占めます。逆に野手はそこまで多くないので、あるポジションでけが人が続出すると、2軍の試合を行うのがしんどい、というものです。
3つ目は単純に支配下登録選手が増えれば、それだけ枠が増えるわけで、プロ野球選手になるチャンスも広がります。80名になれば、実際に各球団が獲得するかはさておき、10名×12球団で120名プロ野球選手になるチャンスは増えます。
もちろん上記以外にも理由はあるかと思います。支配下選手をもっと増やせという意見があるのは事実でしょう。
でも、そんなに支配下登録選手っている?
ただ、さっきも言いましたけど、個人的には「支配下登録選手ってそんなにいる?」と思っています。理由としては、「野球って9人でやるスポーツのに70人も1球団いらんでしょ?」ということです。基本的には9人でやるスポーツなのに、その7.8倍も人数いなきゃいけないってどうなの?と思うわけです。
野球以外のスポーツ選手の人数を見てみる
というわけでちょっと野球以外の各スポーツの1チームあたりの所属人数を見てみました。例えば、サッカーJリーグの場合、1チームあたりの人数は25人〜30人あたり。サッカーは1チーム11人でやるので、大体2〜3倍の人数です。
バスケットの場合、Bjリーグだと選手数は1チームあたり15名以下と決められていて、大体12人〜14人あたり。こちらも1チーム5名でやるので大体2〜3倍の人数です。
バレーの場合は、大体1チームあたり20名前後。少ないチームだと18名くらいで、多いと25名程度という感じ。1チーム6人でやると3〜4.2倍くらいですね。
その他、人数が多いスポーツを見ていくと、ラグビーの場合、大体40人から50人くらい。1チーム15名でやるスポーツなので、2.7倍〜3.3倍という感じ。
アメフトだと、Xリーグでは60名となっているらしく、1チーム11名で行うスポーツなので5.5倍とやや高めの数値。ただ、アメフトの場合、攻守入れ替えの際に選手が一気に入れ替わるので、11名と言いながら実際に出場する人数はもっと多くなりますね。
野球の人数多すぎじゃない?
と、こんな感じで見てみると、野球の人数がやっぱり突出して多い。そもそもベンチ入りできる人数は28名。その中で試合に出場できる人数が25名なので70人のチームを作ると45名は必ず1軍の試合に出れないことになります。
もちろん2軍があるので、溢れた人の中から2軍の試合に出る選手もいるので、45人全員が試合に出ないというわけではないですが、9人で行うスポーツに70人の枠はやっぱりちょっと多すぎではないかと思ってしまいます。
野球界はもう少し柔軟に考えていきませんか?
というわけでプロ野球の人数は少なくとも他のスポーツに比べると支配下登録選手が多いと思っています。で、別に選手が多かろうが少なかろうがどっちでもいいんですよ笑。
それよりも個人的に感じているのは野球界って昔の考えをそのまま踏襲していて、変わっていない部分が多い気がしています。以前も書いたんですが、野球全体の人口、特に若い世代で野球をしている人数ってのは減ってきているんですよね。でも高校野球は観客も多いし、プロ野球も観客は多い。その辺りで「野球人気は以前続いている、大丈夫だ!」なんて思ってたら結構危ないと思うんですよ。
もちろんプロ野球選手になる人数を減らせって言っているわけではないですし、各地でプロリーグができているみたいに、新しい動きがあるのはいいんですけど、プロ野球界ももっと柔軟に考えていくのもいいと思うんですよ。1チームあたりの人数を減らせば、その分の経費削減できて新規参入できる球団が増えてくるかもしれないですし、人数が少なくて2軍の試合できないならレンタル移籍制度を作ってもいいですし。
上記はすぐにできるものでもないですし、うまくいくとは限らないですけど、もう少し他のスポーツからも柔軟に新しい発想を取り入れていった方がいいと思うんですけどね。
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