ビジネス上、経験は必要なのか?経験って何かを考えるの巻

ビジネス

「我々には30年以上の経験と実績があります!」

先日、とある会社の人がこんな話をしていました。あまのじゃくな僕は、そこから色々なことを考えだします。

大きく分けると考えたことは2点。まず、そもそも経験って何?ということと、経験って必要なの?という2つです。

そもそも経験って何だ?

そもそも経験って何なんでしょう?辞書で見てみると、

実際に見たり、聞いたり、行ったりすること

らしいです。でも、感覚としてはちょっと違う部分もあるんですよね。

個人的には以下のような感じやと思っています。

実際に主体的に行ってきていて、そこでのノウハウや注意点、スキルを身につけ、それらを時代に合わせて実践していくこと

よく、「私は○○の経験が20年あります!」とか「20年の実績と経験があります!」みたいに言う方もいると思うんですけど、じゃあその20年間をどう活動してきたか、が大事だと思うんですね。

個人的な意見としては、ある業務を行う際、特殊な場合を除くと、それがある程度できるようになるには大体1年くらいかなぁと思います。1年くらい経験すれば、まぁ1人でやっていけるだろうというレベルの実力に達するという感じです。そこから先は何をするかというと、それをもっと高精度に仕上げていったり、より素早く行動できるようにしたりというレベルを挙げていくための実践という感じ。

1年間でとりあえず一通りの流れを覚えて、1人でまかなえる状態にしてから、その後精度をあげていく。重要なのはこの後者の方だと思うんですよね。

ある程度できる状態まで持っていくのは、多少かかる時間は前後してもまぁたいていの人はできると思います。一方でその後のレベルを上げていく部分については、結構大変。そこからは、マニュアルではない世界に突入して、自分がやってきたことや、外部環境から気付いたことを、自分自身に落とし込んでスキルにして業務遂行の改善を図る、というイメージでしょうか。

ここから先は徐々にスキルを積み上げていくこともありますし、何かが起こった際にそこから得た気付きで一気に精度が上がるというパターンもあるかもしれません。いずれにしても、それまでの型にはまったパターンでは通用しない課題を解決していくための活動と言えるでしょう。

無駄に過ごした時間は経験ではない

で、ここで大事なのは無駄に過ごした時間は経験に入れてはいけないということ。仮に20年の経験と言っても、その20年の中で、実は建設的なことはしておらず、時間だけをただ過ごしてきたのであれば、やはりそれは経験に入れてはだめだと思います。

まぁ自分のことを考えても、実際に過ごした年数と経験って一致しないことがほとんどだと思うんですよ。たいていの人は、どこかでだれた中で仕事をしていると思うんです。一応、私も3月で社会人となって丸8年になるんですけど、その中で経験と呼べるのは半分くらいなような気もしてます。

もちろん人によってはもっと経験値高い人もいるでしょうし、すばらしい人もいるんでしょうけど、経験=過ごした期間というわけでは決してないと思います。

経験年数を長く言うことって良いことなの?

で、そこで疑問に思ってきたのが、「経験年数」を長くすることって本当に良いことなの?、ということ。いや、別に長く言うこと自体は悪いことではないけど、例えば、「20年の経験があります」と言われて、それほどたいしたスキルを持っていないとなった場合、逆に評価はマイナスになる気がしています。この人、20年も仕事してきたのに、たったこれだけのスキル・経験値しかないのかと思われたら、マイナス評価になりますよね。

逆に、「まだ初めて1年です」という人が、想像以上にスキルを持っていた場合、それはプラス評価になるわけです。この人、1年しかやっていないのに、こんなに凄い経験値を持っているんだ!、となり、仕事をお願いしようかなという気分になりますね。

ただ、じゃあ経験年数を長く言うことが悪かというとそうではない気がします。要するに経験年数が20年あった場合に、それに見合うスキルや経験値が積上っているのであれば、それはその人の力量を評価すべきです。

過ごした期間=実際の経験値となっている人であれば、評価すべきだし、そうでない場合はマイナス評価になる。経験ってそういうものだと思います。

その意味では過ごした期間が長くなる程、スキルや経験値も高めていかなければ、それに見合う評価は貰えないということです(当たり前ですけどね)

経験って必要なの?

上記のように、経験って何?って考えていくと、そもそも経験って必要なの?という疑問も湧いてきます。

ここで言っている経験が、もし「過ごした期間」の事を指すのであれば、それは不要でしょう。ただ何となく過ごした時間が長くて、スキルや経験値が身に付いていないのであれば、そんな経験意味ないです。というかそれを経験とは呼びません。

でも、もし、経験という言葉が「実際に積み上げてきたスキルや実践してきた上で取得した経験値」、という意味で使われているなら、それは必要でしょう。こちらは、実際の経験なので、この経験がない人とある人では差が出てきます。この経験のない人に何か仕事をお願いするよりかは、経験ある人にお願いしたいと思いますし、経験ある人の方が価値が高くなりますね。

じゃあ経験ない人は絶対に勝てないの?

実際の経験は必要、となると、経験ない人は経験ある人に勝てないじゃないか!と思うかもしれないです。まぁ一般的にはその可能性も高いのですが、絶対に勝てないというわけでもないと思います。

なぜなら経験を高めるスピードは人によって異なるからです。経験のない人、これからゼロから始める人は、スピード感をもって経験値を高めていけばいいんです。

さっきから述べているように、過ごしてきた期間≠経験なので、過ごしてきた期間は関係ありません。経験を高めるとは、「実際の体験から、何が問題点なのかを追求し、スキルを高めていく作業」という感じでしょうか。なのでそのスピード感を高めていけば、人より先に経験を積んでいくことができるかと思います。

もちろん先に経験を積んでいる人にはその時点では勝てないでしょう。でもその人より早く経験を積んでいくようにすればいいんです。単なる時間では絶対勝てなくても、スキルを高めていくことであれば、早めることはできます。そうやって追い抜いていけばいいんです。

経験=外的環境の変化にも追随しないとね

もう1つ、大事なこととして、経験は積み上げていったら、ずっとそのままというわけではないです。例えば、今1から積み上げてきた経験が70まで到達したとしましょう。70まで積上ったら、そこからずっと70のままかと言えば、そうではないです。むしろそこから下がっていく人も多くいます。そこから先に積み上げる努力をしていないとか、外的環境が大きく変わったとか、色々な理由はあるかと思います。

特に大きいのは外的な環境でしょう。それまでだったら通用したやり方が通用しなくなるというのは、どの世界にもあるでしょう。それに対応できるというのは重要なスキルです。(まぁ実際にそこまで経験を積み上げてきた人なら、対応できる気はしますが、小手先のテクニックに頼っていた場合は無理かもしれないですね。)

外的環境に対応できるようにすることってのも重要な経験だということを認識しておかないとだめですね。

まとめ

てなわけで、経験は過ごした時間ではないし、過ごした期間の中で積み上げられていくスキルや経験値なんだ、ということを書いてきました。自分自身も経験豊富とはいえない中で、いかに経験値をスピード感をもって高めていくか、というのは課題だと思っています。(あっ、こんな内容書いているから、この人凄い経験値なんだろうなぁ、なんて思ったら駄目ですよ笑。)

この先、10年・20年と過ごしていく中で、「あっ、この人は年数と経験が一致しているなぁ」とか、「年数以上に経験がすばらしい人だなぁ」なんて思われたいですね。

 

コメント

  1. 進む より:

    おっしゃる通り経験という言葉は安易にそして都合良く捉えられがちだと思います。
    たとえば最近、留学や海外へ出ることを煽る方々が目につきます。彼らは「今後生きてくる経験。狭い日本を出て広い世界を肌で感じろ」なんて言いますが、「どう生きてくるのさ、すばらしい経験したはずのお前がその程度なのに?」とツッコミたくなるばかり

    もちろんこういった経験も無駄ではないのでしょうが、有効に生かす術がほぼ無いというのが実際のところでしょう。こういったモノの有効性について検証や数値化は困難なため好き勝手に煽り放題で責任も取らないクソ共を見ると反吐が出ます。

    中には海外の転職サイトを渡り歩いて就活してるだけで「こういう刺激を楽しめる方にはオススメ」なんて冒険家気取りでのぼせてるアホもいたり。

    経験というのは本来それによって物事を正しく早く処理するための道具であったはずが、それを目的としてしまうのは愚かで危険だと思います。

    • t-okawa48 より:

      コメントありがとうございます。確かに経験を目的化してしまうのは良くないですよね。
      経験という言葉が漠然と包み込みすぎていて、おかしくなっている気がします。
      「物事を正しく早く処理するための道具」という表現はまさにその通りですね。

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